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日本語教育能力検定試験合格を目指して独学でがんばる人の応援ブログ

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外国語教授法の検定試験対策

 検定試験には必ず外国語教授法についての問題が出ます。また、教授法に関連した出題も多数あります。記述式問題にも大きく関係しますから、検定試験対策として外国語教授法を押さえておくことは、とても重要です。今日はそのポイントについてお話しします。

1.時系列で把握する。

 外国語教授法はこれまで様々な歴史的変遷を経て現在に至っています。例えば、Aという教授法を批判してB教授法が生まれ、さらにB教授法の欠点を補うべくC教授法が開発されるというように複雑に関係、関連しながら変遷しています。

 したがって、外国語教授法はこの歴史的な流れに沿って理解することがまず重要です。

 そういう意味で、赤本の215ページから223ページはとてもよくまとまっています。また、私の推奨するブログ『毎日のんびり日本語教師』さんでは「外国語教授法の変遷についてまとめ!」として、タイトル通り時系列でまとめられています。ぜひ参照してください。

外国語教授法の変遷についてまとめ! | 毎日のんびり日本語教師

2.グループ分けする。

 外国語教授法は様々な切り口でグループ分けすることができます。検定試験でも、その切り口で出題されることがあります。例えば、「行動主義心理学」や「社会的構成主義」などの学習観の切り口です。

 また、フォーカス・オン・フォームズフォーカス・オン・ミーニングフォーカス・オン・フォームといった分類もあります。

 それぞれの用語について理解することはもちろんですが、そのグループに含まれる教授法、グループの特徴、他のグループとの関係性も押さえておきましょう。

3.各教授法を1分間で解説できるようにする。

 検定試験に出そうな教授法は、区分の大小によって20ほどあります。これらを1分間スピーチでレクチャーできるようにしましょう。

4.エクセルにまとめよう。

 上記1から3までを行うためのツールとして、エクセル表をつくりましょう。エクセルが苦手な方はワードでも、あるいは手書きノートでもいいです。とにかくアウトプットが大事です。目、口、耳、手、あらゆる器官を総動員して記憶化します。

 以下は私が作ったエクセル表です。それぞれの教授法の特徴やグループ毎で把握できるよう作りました。ご希望の方には差し上げてもいいですが、自分で作ることに意味があります。ぜひ参考にしてください。

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 コロナ禍の下、みなさんそれぞれに苦労なさっていると思います。ただその中で、在宅時間が多くなったということは共通しているのではないでしょうか。これをチャンスと捉え、検定試験対策に傾注しましょう。コロナが収束する頃、きっと明るい展望が開けていることでしょう。健闘を祈ります。 

 

過去問勉強法

 当ブログのスケジュールでは、5月から過去問に取り組むことになっていますので、計画通り勉強している人は今頃2巡目に入っているでしょう。

 そこで、この辺りで再度過去問の勉強法を確認したいと思います。なぜなら、これを間違えると検定試験の合否に大きく影響するからです。

 今回取り上げるのは、試験Ⅱと試験Ⅲの記述問題を除いた、選択問題の勉強法です。

1.4年分を5回やる。

 私が推奨するのは、平成28年度から令和元年までの過去問です。これを5月から9月まで毎月1回します。

 出遅れた、まだ過去問やってないという人も大丈夫です。まだまだ十分時間があります。早急にアマゾンやメルカリなどで取り寄せ、チャレンジしてください。

 

2.令和2年度版は模擬試験として10月にやります。

 これで直近5年分を押さえることになりますので、万全です。必ずしも令和2年度版でないといけないということはありませんが、最近の出題傾向を知る意味でも直近の情報は押さえておきたいものです。

3.答えではなく正解・不正解の根拠を押さえる。

 同じ問題を何回も解いていると、答えを覚えてしまうことがあります。ぱっと見ただけで「はい、この答えは選択肢2」というように。

 でも、これはとても危険です。選択肢2を正しいとする根拠があやふやなまま通り過ぎてしまうおそれがあります。少し切り口を変えて選択肢3を正解とする問題を出されたら、間違える可能性が大です。

 答えがすぐに分かっても、なぜ選択肢2が正解で、なぜ他の選択肢が間違いなのかをきちんと言えるようにしておきましょう。

 そのためには、日本語教師養成講座の講師になったつもりで声に出して解説するのが一番です。そしてこのとき、赤本を再び引っ張り出してきて解説原稿を作るのです。また、度々紹介するブログ『今日ものんびり日本語教師』さんを参考にするのもいいでしょう。とにかく、教えることは最大の学びにつながります。

4.記録し、分析する。

 下の写真をご覧ください。平成25年度過去問の第1回目(上)と2回目(下)の私の解答用紙です。

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 まず1回目の上の用紙を見てください。青でマーキングした問題は全問正解の問題です。黄色マークは半分以上間違えた問題です。これにより、自分の得意な問題とそうでない問題が分かります。黄色マークの問題を重点的に勉強します。

 次に下の2回目の用紙を見てください。点数が上がってますが、そんなことはどうでもいいです。

 ピンクでマーキングした問題は2回連続間違えた問題です。黄色は、前回合っていたが今回間違えたという問題です。どちらも、どうして間違えたのか追求します。

 こうして3回目、4回目と過去問を繰り返します。すると、面白いことに?、1回目不正解、2回目正解、3回目不正解といった問題が出てきます。まるでモグラ叩きのように。我ながら苦笑しつつ原因分析します。

 このようにモグラ叩きを繰り返して5回目くらいになると、ようやくどの年度も90%台の正答率になります。

 ここまで来れば一安心です。試験Ⅱや記述問題でよほどのことがない限り、合格間違いなしです。

5.試験時間を守る。

 検定試験の問題冊子の表紙には試験時間が書いてあります。例えば、試験Ⅰは90分です。

 1、2回目はともかく、3回目以降はこの試験時間を守りましょう。なぜなら、試験問題の多くは、時間を掛ければ解ける問題だからです。でも、そうやって得た得点は実力とは言えません。過去問も、本試験と同じ試験時間で解きましょう。

6.他の問題集には目もくれない。

 実は、私は過去問集のほかに赤本の問題集やア〇ク社の合格問題集を持っていました。しかし、結局どちらも1ページも開くことなく検定試験を迎えました。そして、今頃はどこかの BOOKOFF の棚に鎮座していることでしょう。いや、誰かが買っていったかもしれません。

 処分した問題集を買った人には申し訳ないですが、私にとっては正解だったと思います。どちらもかなりのボリュームがあり、もし手を付けていたら勉強時間を相当圧迫し、混乱や不安を増長させるだけだったと思います。

 悪いことは言いません。問題集は過去問だけにしましょう。なお、赤本内の確認問題は、その名の通り確認の意味で、本番直前にやるのもいいと思います。

 

令和元年度過去問、試験Ⅰ問題1・2の対策

 検定試験の試験Ⅰ、問題1・2シリーズの最後です。令和元年度の過去問について記します。

問題1

(1)【円唇性】

 もうこの種の問題は、みなさんは秒で答えられると思います。これまでに何回もお見せした、問題用紙に書いた私のメモを再掲します。下の母音の図です。

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これの基になった図です。エクセルで作りました。

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 そうです。円唇は「オ」です。したがって答えは5です。

(2)【撥音の音声】

 これは少し難しい。一見、撥音についてのちゃんとした知識がないと解けないように思えます。でも、諦めるのはちょっと早いです。

 選択肢はどれも「かん・・」と読みます。したがって、撥音「ん」の後続音によって「ん」の音声が異なると推測できます。

 ここで私は、またしても先ほどの音声メモを思い起こしました。

 

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 上の子音のメモを見てください。タ行のうち「チ」だけが歯茎硬口蓋音で、他は歯茎音です。したがって答えは「完治」の3と推測しました。正解でした。

 いかがですか。手前味噌のようですが、この音声メモ、随分役に立つでしょう。試験Ⅱはもちろん、この試験Ⅰ問題1でも活用してください。

 ただ、今回は私の無手勝流で解くことができましたが、撥音の音声は結構奥が深いです。赤本第5版の484ページで、後続音がない場合や鼻母音となる場合を確認しておいてください。因みに、鼻母音の場合を私は「朝は早(い)=アサワハヤ(イ)」と覚えました。

(3)【拍数の変化】

 拍数の数え方を知っていれば、簡単に解けます。本来、「火」は「か」の1拍ですが、「月火水」と読むときは「げつかーすい」と2拍になります。他の選択肢は、2拍のまま変わりません。したがって答えは1です。

 この辺りは、毎々紹介するブログ『毎日のんびり日本語教師』さんが詳しく解説してくれてますので、ぜひ閲覧してください。

(4)【読み方のバリエーション】

 「9人」だけが「きゅうにん」「くにん」の読み方があります。他は一つの読み方しかありません。

(5)【語構成】

 「耳当て-耳に当てる」「下敷き-下に敷く」「膝掛け-膝に掛ける」「前書き-前に書く」ですが、「台拭き」は「台を拭く」です。

(6)【転成名詞の意味】

 これも「かばん持ち-かばんを持っている」「所帯持ち-所帯を持っている」と言い換えることができますが、4の「心持ち」は「心を持っている」とすると別の意味になってしまいます。

(7)【デ格の意味】

 1の「で」は原因・理由の「で」ですが、それ以外は手段の「で」です。

(8)【補助動詞

 2の「持ってかえる」の「かえる」は「帰る」の意味ですが、「座ってみる」の「みる」には「見る」という意味がありません。他も同様です。

(9)【指定文と措定文】

 指定文措定文。私は意味がわかりませんでしたので、無手勝流を使うことにしました。

 大体の言葉のイメージから、はっきり特定できるのが指定文、そうでないのが措定文と目星をつけ、現場にいなくてもわかる文とそうでない文とに選別しました。

 すると、5の「院長はあの人だ」は現場にいないとわかりません。

 結果は、5で正解でした。が、実はこれは全くのまぐれ当たりで、答への道筋も完全に外れていました。

 赤本の分野別用語集によると、指定文は「A=B」、措定文は「A<B」の文です。つまり、「私の先生は男の人だ」は「男の人は私の先生だ」とはならないので措定文です。なるのは「院長はあの人だ」だけです。

 なお、私が選別基準とした現場云々の定義は、ダイクシスのことでした。ウナギ文と合わせて確認しておいてください。

(10)【直接受身文における動作主の表示形式】

 【  】には難しいことが書いてありますが、4だけ被害者意識の混じった受身文です。いわゆる「迷惑の受身」です。

(11)【述語が表す出来事とニ格の関係】

 これも【  】の意味がよくわかりません。が、1から4までは述語の行為がどれも週末に行われたと解釈できます。

 それに対して5の「週末にレストランを予約した。」の週末は、予約行為をした日ではなくレストランを利用する日と考えられます。

(12)【「の」の用法】

 これはぱっと見でわかりますね。2だけが「本が好きな子ども」とか「本を好きな子ども」と言い換えられるのに対して、他はできません。

(13)【「のだ(んだ)」の用法】

 3以外は下線部を疑問形にしても文として成立します。例えば、1の「あれ、雨が降っているんだ。」は「あれ、雨が降っているのか。」でも全然おかしくありません。  

 しかし、3は文になりません。

(14)【「ところ」の用法】

 1以外は「ところ」を「ときに」とか「ころに」に置き換えられますが、1はできません。

(15)【「れる・られる」の用法】

 4だけ受身の「れる・られる」です。他は、自発の「れる・られる」です。

 と書いたところで『毎日のんびり日本語教師』さんの過去問解説を覗いたら、4は可能形となっていました。

 どっちなんでしょうね。こういうとき、いわゆる「ら抜き言葉」は便利ですね。「高めれる」となっていたら迷わず可能形ですから。

 

問題2

(1)

 ローマ字で書くと、すぐ答えが見つかります。誤用例は「syouto⇒siyouto」と「i」が入る誤用です。1、2、4は同じ誤用です。

 これに対して3は「kyositu⇒kyousitu」と「u」が入る誤用です。

(2)

 誤用例と選択肢の1から3は、アクセントの誤用です。選択肢4はアクセントではなく「りょこう」が「りょうこ」となった誤用です。

(3)

 「〇〇した」を「〇〇された」とした誤用です。しかし3は「誤りを」を「誤りが」とした誤用です。

(4)

 誤用例は「それで」とか「そのため」を「そこで」とした誤用です。しかし1は「そこに」を「そこで」とした誤用です。

(5)

 誤用例は「・・ておく」の文型を用いるべき誤用です。これに対して選択肢4は「梅雨に入るまでに」と「に」を入れるべき誤用です。

 

 今回も日本語教育の専門知識を要する問題は、音声関連を除けば問題1(9)の【指定文と措定文】の問題だけでした。音声関連の問題にしても、pooman式の裏技で十分解ける問題です。

 つまり、試験Ⅰの問題1・2は特別な勉強を要せず、かつ高得点が得られる問題です。最低でも9割9分(9分以内に解いて9割以上の正答率)を目指しましょう。

 

 

 

 

平成30年度過去問、試験Ⅰ問題1、問題2の対策

 前回の結論で「試験Ⅰの問題1と2は、特別な勉強を要しません。その分、他の分野に傾注しましょう。」と言いましたが、今回も問題1、2の対策です。

 なぜなら、特別な知識はそれほど要しませんが、ここは早くスルーする必要があるからです。少しでも早く処理し、後の問題に使える時間を捻出しなければいけません。

 そのためには勘とひらめきを養う、つまり脳トレが必要なのです。

 では、早速始めましょう。

問題1

(1)【二重調音】

 いきなり難問です。赤本にも用語集にも二重調音という用語は出てきません。私は、4を答えとしました。調音するのは子音だけで母音はしないので、母音の[w]が答えだと思ったのです。

 結果は正解でしたが、プロセスは全然間違っていました。そもそも[w]は母音ではなく子音でした。母音の「ウ」の音声記号は [ɯ]でした。

 詳しくは、ブログ「毎日のんびり日本語教師」さんの下記サイトをご覧ください。

母音、子音とIPA(国際音声記号)について - 日本語教育能力検定試験対策|毎日のんびり日本語教師

 すばらしい解説が載っています。これによると、二重調音は[w]だけのようです。

(2)【二重母音の取り入れ方】

 これは比較的簡単でした。ゲーム(geimu)、セールス(seirusu)、メール(meiru)のように、子音にくっついて母音が続くのを二重母音と言うようですが、それぞれの子音は「エ」とか「イ」と発音されることはありません。しかし、レインブーツの「イ」は独立して発音されます。したがって、答えは5です。

(3)【音節数】

 音節の知識があれば簡単です。2の「教育」だけが3音節で、他は2音節です。分からなかった方は、赤本第5版の472ページで確認してください。その際。拍数と音節数の比較も併せて理解しておきましょう。

(4)【アクセント】

 これも、読んでみれば何となく分かるのではないでしょうか。「一喜一憂」だけ、他とは違いますよね。

(5)【短縮語形成】

 「スタメン⇒スターティング・メンバー」「アカハラアカデミック・ハラスメント」「エアロビ⇒エアロビクス」・・・もう分かりましたね。3が答えです。

(6)【転訛形】

 転訛形の意味が分からなくても、「やめとく⇒やめておく」「なにしてんの⇒なにしているの」「帰らなきゃ⇒帰らなくては」「やっちゃいなよ⇒やってしまいなよ」となりますが、「やばい」は何ともなりません。

(7)【漢字の読みとつくり】

 選択肢の1から4は、つくりの読みがそのまま漢字の読みになっています。でも、5の「計」の「十」は何と読むのでしょうか。

(8)【熟字訓】

 熟字訓とは当て字のことでしょうか。先に「あずき」という言葉があって、それに「小豆」を当てたようです。通常の漢字の読みでは読めない読みです。

 ですから、答えは、普通に読める「子供」です。

(9)【テ形の音便化】

 音便化しないのは「話す⇒話して」だけです。

(10)【イ形容詞の作り方】

 これは、秒で答えられますね。「黄」だけが「黄色い」となって他は「〇い」です。

(11)【「こと」の用法】

 これも10秒かかりません。「~ことだ」を「~ように」と言い換えれば一発です。

(12)【「~直す」の用法】

 同じく10秒コースです。下線部の前に「もう一度」を置きます。違和感があるのは何番ですか。そうです、2番です。

(13)【比喩】

 選択肢の2は漱石の小説、3は洗濯機のドラム、4は黒板の字、5は永田町の政治家たち。では1は?

(14)【応答詞の用法】

 4以外は指示命令や依頼に対する応答、4だけが確認に対する応答。

(15)【結果の評価】

 3だけがいい評価で、他は結果を悔やんでます。

 問題1は(3)までは多少時間や知識を必要としますが、後は楽勝ですね。この調子で問題2もいきましょう。

 

問題2

(1)

 ローマ字で書くと分かります。誤用例と選択肢2、3、4の誤用は、余分な音が入った誤用です。それに対して1は「hima⇒ima」と、音が抜ける誤用です。

(2)

 誤用例は「食べよう」が「食べろう」となった誤用です。ですから、逆にすれば分かります。「出来ろう」は「出来よう」になりません。

(3)

 誤用例は「という」が要らない誤用です。でも、選択肢2は「という」を取ると文になりません。

(4)

 誤用例は「およそ」を使うべき誤用ですが、3は「およそ忘れてしまう」となり、違う誤用です。

(5)

 誤用例は「行く前に」とすべき誤用です。しかし2は、「収まる前に」ではなく「収まるまで」とすべき誤用です。

 

 問題2は、どんな誤用か分かればとても早く解けます。いろいろ言い換えたり取ったり入れたりしてみましょう。

 

 

 

平成29年度過去問、試験Ⅰ問題1、問題2の対策

 前回に引き続いて、平成29年度過去問の試験Ⅰ問題1、問題2の対策です。前回、ここの問題は日本語教育の知識がなくてもある程度解けると言いましたが、今回もそれを実証したいと思います。

問題1

(1)【音声的対立】

 まずは正攻法の解き方です。毎回お馴染みの下の表をご覧ください。

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 選択肢3、4、5のそれぞれの音声記号が赤丸の中に入っています。調音点と調音法が同じということですね。音声的対立があるとすると、何か別の発音法になります。

 これに対して四角で囲った選択肢2の音声記号は、調音点が異なります。つまり、調音点で対立しています。したがって、答えは2です。

 ちょっと待って、選択肢1はどうなってるのという声が聞こえてきそうです。

 そうですね。選択肢1の[θ][ð]は、日本語の発音では使われないので、この表には入れてません。

 でも、思い出してください。中学校で習ったthink[θíŋk]とthis[ðís]を。[θ][ð]は、どちらも、発音の仕方はほとんど同じだったはずです。つまり、調音点と調音法は同じでした。

 では、選択肢1、3、4、5はどこで対立しているのでしょう。ここで皆さん、例の「葉っぱ坂田」の再登場です。ハ行、パ行、サ行、カ行、タ行は無声音というものでした。

 今仮に、選択肢1、3、4、5の音を、それぞれ「ス/ズ」「タ/ダ」「シ/ジ」「パ/バ」とすると、左の音は全部「葉っぱ坂田」です。

 もう分かりましたね。無声音と有声音、声帯振動の有無が対立点でした。

 以上が正攻法の解き方です。でも私の無手勝流はもっと簡単です。先ほどの「ス/ズ」「ヒ/フ」「タ/ダ」「シ/ジ」「パ/バ」を口パクで読むだけです。

 どうですか。「ヒ/フ」のときだけ口の形や舌の位置が大きく変わりませんでしたか。そして、ほかの「ス/ズ」「タ/ダ」「シ/ジ」「パ/バ」はほとんど変わらなかったんじゃないでしょうか。

 このやり方では対立点は分かりません。でも、これでいいのです。一つだけ違うのが分かればいいのですから。

(2)【句末での無声化】

 有声や無声といったワードが出てきたら、迷わず「葉っぱ坂田」です。

 句末なので句末の拍を書き出します。1から順に「う、む、い、り、しゅ」となります。この中で「葉っぱ坂田」は「しゅ」だけです。したがって答えは5です。

 検定試験の試験Ⅰは100問です。これに対して試験時間は90分です。つまり、1問平均54秒で解かないといけません。

 でも、問題3以降は結構時間を要します。ですから、この問題1と問題2をいかに短時間で終えるかがキモになります。poomanの無手勝流なら1問30秒はかかりません。

 句末の無声化についてきちんと理解したいという方は、赤本第5版の486ページで、母音の無声化を確認してください。

(3)【東京方言のアクセント型】

 東京方言て、何でしょう。私は分かりませんでした。とりあえず選択肢を黙読しました。すると、「あわび」だけ「高低低」アクセントで、他は「低高高」でした。答えは4としました。合っていました。10秒でした。

(4)【漢字の成り立ち】

 選択肢を見て、「ははーん、象形文字だな」と思ったらもう簡単です。5の「林」だけ「木」が二つあります。5秒で解けますね。

(5)【借用における文法形式の脱落】

 これも、よく分かりませんでした。特に2のシフォンケーキは食べたことはあるものの、どういう名前由来なのか知りませんでした。

 でも、ほかの選択肢を見てみると、みな「マッシュされたポテト」「スモークされたチーズ」「アイスされたコーヒー」「スクランブルされたエッグ」と、本来は受身形なのが分かりました。

(6)【派生語の語構成】

 そもそも、この【 】内に示された観点というのがよく分かりません。でも、そんなこと言ってても仕方ないので、とりあえず「栄養士⇒栄養を考える人」「調査官⇒調査する人」「審査員⇒審査する人」「依頼人⇒依頼する人」「看護師⇒看護する人」としてみたら、栄養士だけ別物と分かりました。

(7)【活用】

 これは簡単ですね。2だけ自動詞「混じる」、他動詞「混ぜる」と活用しますが、他は「ドアが閉じる」「ドアを閉じる」というように自他で活用が変わりません。

(8)【助動詞の意味】

 これも、うまくは解説できませんが、1以外は「ない」に置き換えることができるのに対し、1の「ぬ」はそういう意味ではありません。

(9)【形容詞の格】

 4だけ「水を欲しい」と言えますが、他は言えません。したがって4と解答したら、合っていました。

(10)【行為欲求のモダリティ】

 3以外はどれも要求の表現ですが、3は確認です。

(11)【二つの出来事の継起を表す表現】

 【 】には難しいことが書いてありますが、選択肢を読んでみると5だけ何か違うということが分かります。4までは前件と後件の時間的関係ですが、5は違います。

(12)【否定の焦点】

 これは少し時間がかかりました。でも、3以外は「ぶつけたんだけど、ぶつけたんじゃない」「泣いているけど、泣いているんじゃない」というパターンだと分かり、3に決定。合っていました。

(13)【副詞の呼応】

 「いまだ・・・ない」「なぜ・・・か」「もし・・・ならば」「どうぞ・・・ください」とセットになった言い回しですが、5の「あいにく」だけは決まって対応する言葉がありません。

(14)【「ご」の用法】

 3以外は、相手の行為や物に付けられる「ご」ですが、3の「ご褒美」は丁寧に言うための「ご」です。

 赤本によると、2007年2月に文化審議会国語分科会から答申された「敬語の指針」で、それまでの尊敬語、謙譲語、丁寧語の3分類から謙譲語を謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱ、丁寧語を丁寧語と美化語に分けて5分類とされたとのことです。

 なぜそのように複雑化する必要があるのか、私には理解できません。「ご案内」を例に挙げると、立てる人物の「ご案内」は尊敬語、自分が「ご案内」したら謙譲語Ⅰ、どちらでもない「ご案内」は美化語? これをどうやって外国人に教えるのでしょうか。また、そんな必要があるのでしょうか。否、外国人に限りません。日本人にだって必要ないと思います。「ご案内=丁寧語」で、なぜいけないのでしょうか。どなたか教えてください。

(15)【「って」の用法】

 1以外は、「って」を「という」に置き換えられます。

 

問題2

(1)

 誤用例と1から3は、拍数は変わっていませんが、4だけ拍数が増えています。したがって、答えは4です。

(2)

 誤用例は「担当しゃ」と音読みすべきところを「担当もの」と訓読みしています。2から4は同じ誤用ですが、1は濁音を清音で読む誤用です。

(3)

 誤用例の「混雑になりました」は、「混雑しました」の誤用です。でも、3の「親切になりました」は、「親切しました」とは言えません。

(4)

 誤用例は道具としての「遊ぶもの」を「遊びもの」と言う誤用です。1の「ジュースやお茶」は道具ではありません。ストローだったら良かったですね。

(5)

 誤用例の「私は・・」は、「私が・・」の誤用です。でも4はそこではなく、「痛いんですから」に誤用があります。

 

 それでは検証です。問題1と2を合わせて20問中、日本語教育の知識がないと解けない問題は問題1の(1)と(2)、問題2の(1)の3問でした。残りの17問は、普通の国語感覚で十分解ける問題です。

 それに、問題1の(1)と(2)、問題2の(1)の3問は音声問題と重なります。つまり、音声問題対策をしていれば解ける問題です。

 ということで結論です。試験Ⅰの問題1と2は、特別な勉強を要しません。その分、他の分野に傾注しましょう。

 

 

   

  

平成28年度過去問、試験Ⅰ問題1、問題2の対策

 5月のGWも、あっという間に終わりました。皆さん、いかがお過ごしでしたか。ピンチをチャンスにと、コロナ禍の引きこもり時間を検定試験対策に有効活用した人もいらっしゃるのではないでしょうか。

 さて、5月の第1週の課題は平成28年度の過去問でした。何度も言いますように、私は全分野にわたって過去問解説できる力量は持ち合わせていませんので、あまり知識がなくても感覚とテクニックで解ける問題の多い、試験Ⅰの問題1と問題2の対策についてお話しします。

 全分野にわたっての過去問解説は、前回もご案内しましたが『毎日のんびり日本語教室』さんのブログを訪問してください。

問題1

(1)

 問題1の(1)は、音声記号の問題と決まっています。ここで、以前案内した音声表や、問題用紙に書く音声メモが早速役に立ちます。

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 [ɸ]、[ç]、[s]、[θ]は摩擦音の行にあり、[ɾ]だけが弾き音です。したがって、答えは4です。

 別の解き方もあります。カタカナ音にしてみます。[ɸ]、[ç]、[s]、[θ]は、それぞれフ、ヒ、サ、シに相当します。上の右のメモを見てください。中断にフサシヒとありますね。[ɾ]はラで下の段ですから、別物です。ということで、やはり答えは4になります。

 このように問題1は、一つだけ異なるものを選ぶ問題ですから「ほかと違う」ということが分かればいいです。極端に言えば、摩擦音や弾き音が分からなくても、音声記号の位置関係が分かれば解けます。

(2)

 この問題は簡単ですね。上から順に「に年に月、よ年し月、ろく年ろく月・・・」と読むだけですから。

(3)

 これも、【 】内に示された観点に従って、「こわい(イ形容詞)⇒こわがる(動詞)、学生(名詞)⇒学生たち(名詞)、高い(イ形容詞)⇒高さ(名詞)・・・」と品詞の変化を見れば、答えが出ます。

(4)

 各動詞グループの活用ルールに従ってナイ形をつくります。すると、「ある」は5段動詞ですが「あらない」ではなく「ない」になります。したがって答えは4です。

(5)

 最初見たとき、私は違いがすぐ分かりませんでした。でも、「~だ」を付けてみたら、「同じ」だけが「同じだ」となり、他は「このだ、あらゆるだ・・・」と文になりませんでした。

 このように連体詞がよく分かっていなくても、言い換えを工夫すれば解けます。

(6)

 これも簡単です。「渡る⇒渡す、通る⇒通す、回る⇒回す・・・」とできますが、「走る⇒走す』とはなりません。

(7)

 私は、「切る」の意味から「飲み切る⇒飲み終わる」、「使い切る⇒使い終わる」と言い換えてみました。そして、「噛み切る⇒噛み終わる?」となって、答えが分かりました。

(8)

 形式の反対は実質。ということは、形式名詞は実質的な意味を持たないとゆうことか。でも、「わけ」はちゃんとした「事情とか理由」といった意味があるぞ、とゆうことで答えは1。

(9)

 最初にこの問題を解いたときは、まだモダリティがよく分かっていませんでしたが、何となく4の「読んでもいい」は説得力が弱いなと思い、4としました。答えは〇でした。

(10)

 これもよく分かりませんでしたが、「から」を「は」に代えてみたらすぐ答えが見つかりました。

(11)

 「~ぱなし」を「~たまま」に置き換えてみたら、簡単でした。

(12)

 「ことにする」を取ってしまいました。文にならなかったのは3でした。

(13)

 分数の問題にしてみたら、4だけが分数にできませんでした。

(14)

 前件と後件の時制を比較してみました。5だけが逆でした。

(15)

 この問題だけは、勘とひらめきで解くことはできません。赤本の言語類型論をしっかり勉強しましょう。答えは2です。

 

問題2

(1)

 誤用例は「かんじゃ」を「かんしゃ」とする誤用。同じように「うらない⇒うなない」「だいがく⇒たいがく」「がんばって⇒かんばって」「あるばいと⇒あるぱいと」と書いてみます。

 ここで思い出していただきたいのが、無声音の「葉っぱ坂田」。ハ行、パ行、サ行、カ行、タ行の音は無声音というものでした。

 すると、「うらない⇒うなない」だけが「有声音⇒有声音」で、他は「有声音⇒無声音」の誤用。つまり、答えは1です。

(2)

 下線部を「~くなりました」に替えてみます。4だけが「緊張くなりました」となって具合が悪いです。

(3)

 「よく」を「たくさん」とした誤用と考えて、「よく」に替えます。2だけが意味が変わってしまいますので、答えは2です。

(4)

 活用語尾を取って「~そうです」とします。3だけが「帰ってきそうです」となって、意味が変わります。したがって、答えは3です。

(5)

 「ね」を取ります。1以外は全く問題ありません。1だけが変な応答です。

 

 いかがですか。結局、日本語教育の専門知識がないと解けない問題は20問中3問だけでした。逆に言えば、専門知識がなくても勘とひらめきで8割取れるのが、試験Ⅰの問題1と問題2です。

 つまり、試験Ⅰの問題1と問題2は特別の勉強を必要としません。これ以降の問題で7割取れる勉強をすれば、必然的に満点に近い点数が取れるでしょう。

 「試験Ⅰ問題1、問題2の対策」と銘打っておきながら、変な結論になってしまいました。強いて言うなら、「勘とひらめきを鍛えよう」が対策になるでしょうか。

さぁ始めよう、過去問対策!

 5月に入りました。当プログの年間計画では、今月から検定試験の過去問に取り組みます。平成28年度から令和元年度まで4年分の過去問を1か月に1巡し、9月までに5巡します。つまり、1冊の過去問集を計5回やり、検定試験に備えます。

 4年分を1か月でこなしますので、1年分の勉強時間は約1週間。これをどう日々の勉強時間に落とし込むかは皆さんのライフスタイルによります。私のような年金生活者と、常勤フルタイムの仕事を持っている人とでは使える時間も時間帯も異なります。

 ただ、私の経験から言うと、極端な時間配分はお薦めできません。例えば、平日は全く勉強せず、土日に集中してやるというパターンです。

 人にもよりますが、なかなかモチベーションの維持や勉強の効率が難しくなると思います。忙しくても毎日最低30分、できれば1時間以上勉強しましょう。

 ところで、皆さんは上記年度の過去問は全て揃っていますか。まだの人は、下に購入サイトを貼っておきますので、早急に調達してください。貼ってあるのは令和2年度の過去問サイトですが、ここから他の年度にもアクセスできます。