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令和元年度過去問、試験Ⅰ問題1・2の対策

 検定試験の試験Ⅰ、問題1・2シリーズの最後です。令和元年度の過去問について記します。

問題1

(1)【円唇性】

 もうこの種の問題は、みなさんは秒で答えられると思います。これまでに何回もお見せした、問題用紙に書いた私のメモを再掲します。下の母音の図です。

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これの基になった図です。エクセルで作りました。

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 そうです。円唇は「オ」です。したがって答えは5です。

(2)【撥音の音声】

 これは少し難しい。一見、撥音についてのちゃんとした知識がないと解けないように思えます。でも、諦めるのはちょっと早いです。

 選択肢はどれも「かん・・」と読みます。したがって、撥音「ん」の後続音によって「ん」の音声が異なると推測できます。

 ここで私は、またしても先ほどの音声メモを思い起こしました。

 

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 上の子音のメモを見てください。タ行のうち「チ」だけが歯茎硬口蓋音で、他は歯茎音です。したがって答えは「完治」の3と推測しました。正解でした。

 いかがですか。手前味噌のようですが、この音声メモ、随分役に立つでしょう。試験Ⅱはもちろん、この試験Ⅰ問題1でも活用してください。

 ただ、今回は私の無手勝流で解くことができましたが、撥音の音声は結構奥が深いです。赤本第5版の484ページで、後続音がない場合や鼻母音となる場合を確認しておいてください。因みに、鼻母音の場合を私は「朝は早(い)=アサワハヤ(イ)」と覚えました。

(3)【拍数の変化】

 拍数の数え方を知っていれば、簡単に解けます。本来、「火」は「か」の1拍ですが、「月火水」と読むときは「げつかーすい」と2拍になります。他の選択肢は、2拍のまま変わりません。したがって答えは1です。

 この辺りは、毎々紹介するブログ『毎日のんびり日本語教師』さんが詳しく解説してくれてますので、ぜひ閲覧してください。

(4)【読み方のバリエーション】

 「9人」だけが「きゅうにん」「くにん」の読み方があります。他は一つの読み方しかありません。

(5)【語構成】

 「耳当て-耳に当てる」「下敷き-下に敷く」「膝掛け-膝に掛ける」「前書き-前に書く」ですが、「台拭き」は「台を拭く」です。

(6)【転成名詞の意味】

 これも「かばん持ち-かばんを持っている」「所帯持ち-所帯を持っている」と言い換えることができますが、4の「心持ち」は「心を持っている」とすると別の意味になってしまいます。

(7)【デ格の意味】

 1の「で」は原因・理由の「で」ですが、それ以外は手段の「で」です。

(8)【補助動詞

 2の「持ってかえる」の「かえる」は「帰る」の意味ですが、「座ってみる」の「みる」には「見る」という意味がありません。他も同様です。

(9)【指定文と措定文】

 指定文措定文。私は意味がわかりませんでしたので、無手勝流を使うことにしました。

 大体の言葉のイメージから、はっきり特定できるのが指定文、そうでないのが措定文と目星をつけ、現場にいなくてもわかる文とそうでない文とに選別しました。

 すると、5の「院長はあの人だ」は現場にいないとわかりません。

 結果は、5で正解でした。が、実はこれは全くのまぐれ当たりで、答への道筋も完全に外れていました。

 赤本の分野別用語集によると、指定文は「A=B」、措定文は「A<B」の文です。つまり、「私の先生は男の人だ」は「男の人は私の先生だ」とはならないので措定文です。なるのは「院長はあの人だ」だけです。

 なお、私が選別基準とした現場云々の定義は、ダイクシスのことでした。ウナギ文と合わせて確認しておいてください。

(10)【直接受身文における動作主の表示形式】

 【  】には難しいことが書いてありますが、4だけ被害者意識の混じった受身文です。いわゆる「迷惑の受身」です。

(11)【述語が表す出来事とニ格の関係】

 これも【  】の意味がよくわかりません。が、1から4までは述語の行為がどれも週末に行われたと解釈できます。

 それに対して5の「週末にレストランを予約した。」の週末は、予約行為をした日ではなくレストランを利用する日と考えられます。

(12)【「の」の用法】

 これはぱっと見でわかりますね。2だけが「本が好きな子ども」とか「本を好きな子ども」と言い換えられるのに対して、他はできません。

(13)【「のだ(んだ)」の用法】

 3以外は下線部を疑問形にしても文として成立します。例えば、1の「あれ、雨が降っているんだ。」は「あれ、雨が降っているのか。」でも全然おかしくありません。  

 しかし、3は文になりません。

(14)【「ところ」の用法】

 1以外は「ところ」を「ときに」とか「ころに」に置き換えられますが、1はできません。

(15)【「れる・られる」の用法】

 4だけ受身の「れる・られる」です。他は、自発の「れる・られる」です。

 と書いたところで『毎日のんびり日本語教師』さんの過去問解説を覗いたら、4は可能形となっていました。

 どっちなんでしょうね。こういうとき、いわゆる「ら抜き言葉」は便利ですね。「高めれる」となっていたら迷わず可能形ですから。

 

問題2

(1)

 ローマ字で書くと、すぐ答えが見つかります。誤用例は「syouto⇒siyouto」と「i」が入る誤用です。1、2、4は同じ誤用です。

 これに対して3は「kyositu⇒kyousitu」と「u」が入る誤用です。

(2)

 誤用例と選択肢の1から3は、アクセントの誤用です。選択肢4はアクセントではなく「りょこう」が「りょうこ」となった誤用です。

(3)

 「〇〇した」を「〇〇された」とした誤用です。しかし3は「誤りを」を「誤りが」とした誤用です。

(4)

 誤用例は「それで」とか「そのため」を「そこで」とした誤用です。しかし1は「そこに」を「そこで」とした誤用です。

(5)

 誤用例は「・・ておく」の文型を用いるべき誤用です。これに対して選択肢4は「梅雨に入るまでに」と「に」を入れるべき誤用です。

 

 今回も日本語教育の専門知識を要する問題は、音声関連を除けば問題1(9)の【指定文と措定文】の問題だけでした。音声関連の問題にしても、pooman式の裏技で十分解ける問題です。

 つまり、試験Ⅰの問題1・2は特別な勉強を要せず、かつ高得点が得られる問題です。最低でも9割9分(9分以内に解いて9割以上の正答率)を目指しましょう。