試験Ⅱ、問題3(発音問題)の対策
問題3は、学習者の発音上の問題を指摘する問題です。私は、この問題3にも随分苦労しました。
問題3の1番から3番は、学習者の発音の問題箇所を口腔断面図で示すものです。私は、発音を聞いても断面図に全然結びつきませんでした。
例えば、学習者が「たくさん勉強しました」と言うべきところを「たくさん勉強すました」と言ったとします。
私は、「す」の音が問題だとは分かるのですが、その断面図がぱっと思い浮かばないのです。一旦音声表に落とし込んで「す」が歯茎摩擦音であることを確認し、それから歯茎摩擦音の断面図を問題の選択肢から探すという手順を踏まないと答えに辿り着きません。
試験Ⅱの所要時間は30分です。それに対して問題数は40問です。例題や問題の音声を流している時間や無駄に流れるポーズを引けば、解答に使える時間は1問について10秒ほどでしょう。
とても私の解答方法では時間が足りません。それに、試験会場に音声表を持ち込むことは、できるわけがありません。
そこで、考えました。問題用紙に音声表を書くことを。下が、実際に私が令和2年度の試験用紙に書いた音声表です。上が子音、下が母音です。
これの基になった音声表が下です。
子音の赤字の部分と、母音の五角形を試験用紙に書きました。
子音の手書きメモを説明します。左から調音点の両唇、歯茎、歯茎硬口蓋、硬口蓋、軟口蓋、声門。上から調音法の鼻音、破裂音、摩擦音、破擦音、弾き音、接近音の並びになります。
もちろんこれらの位置関係や包含関係は頭の中に入っていますから、「す」と聞けば「さ」を探し、「歯茎摩擦音だ!」となるわけです。
ここまで来れば後は簡単。歯茎音と摩擦音の特徴がある断面図を探すだけです。
次は4番から8番の問題対策です。これは、本来の音と間違った音の位置関係で答えます。
例えば「ぱ」と言うべきところを「ま」と発音した場合、「ぱ」は有声両唇破裂音で「ま」は有声両唇鼻音なので調音法に問題があります。
でも、ぱっと聞いただけでそんなの分かりませんよね。
そこで、先ほどの手書き音声表の登場です。
「ぱ」と「ま」は縦線上(調音法)の上と下の関係ですよね。横の位置関係(調音点)は変わりませんよね。ですからこれは調音法に問題があることになります。
このように、縦に誤った場合は調音法、横に誤った場合は調音点、斜めであれば調音法と調音点が答えになります。
簡単でしょ! いちいち「ぱ」の調音法は?、調音点は?、などと考えなくていいですから。
母音の場合も同じです。
「お」が「う」と発音されたとします。「う」が上で「お」が下にあります。それから「お」は円唇で他は非円唇です。したがって答えは「舌の高さと唇のまるめ」になります。
ところで、この問題には声帯振動という選択肢があります。声帯振動とは有声音のことです。逆に、声帯振動を伴わない音が無声音です。
ここで、私のとっておきの秘策をお教えしましょう。「葉っぱ坂田」と覚えてください。意味はありません。単なる語呂合わせです。
ハ行、パ行、サ行、カ行、タ行のことです。これらは皆、無声音です。そして、これら以外はすべて有声音です。
どうですか。希望が見えてきたでしょう。
最後に、音声問題に悩める方に再度、私からのプレゼントの案内です。エクセルで作った音声表を差し上げます。ご希望の方は、当プログのお問い合わせフォームからご依頼ください。記載いただいたメールアドレス宛に添付してお送りします。