これであなたも、日本語教師!

日本語教育能力検定試験合格を目指して独学でがんばる人の応援ブログ

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記述問題対策 その3

 今日は、タイトルとは一見関係なさそうな話をします。

 私は現在、マンツーマンのオンラインレッスンがほとんどです。そんな中で、私がもっとも心がけているのはアイコンタクト、つまり目を見て話すことです。
 会話におけるアイコンタクトの重要性はみなさんご存知だと思います。Wikepediaにも次のように書かれています。少し長いですが引用します。

人間において、互いの目を見ることはコミュニケーションの基本であり、非言語コミュニケーションの基本である。対人関係において、会話をするときは相手の目を見るのは基本的なルールと見なされていると言ってよい。健常者で一定のコミュニケーション能力のある人であれば、通常、会話の相手の心理的な反応(感情)に配慮しつつ会話を進めるので、(心の窓とも呼ばれ、感情を読み取りやすい)目を見ることになり、結果として健常者同士の会話であれば自然とアイコンタクトが繰り返し起きることになる。ある人物がアイコンタクトをしないということは、その人物が他者の心や人格への配慮を欠いている、ということのしるしにもなりうる。

 このようにアイコンタクトは会話の常識のようになっていますが、実際のオンライン授業では結構難しい問題があります。

 なぜなら、パソコンのWEBカメラの位置とモニター画面に映る相手の目の位置が、かなり離れているからです。

 アイコンタクトしようとカメラ目線で話すと、相手の表情や感情が読み取れません。逆にモニター上の相手の目を見て話すと、相手には私が下を向いて何かを読みながら話しているように見えてしまいます。

 そのため、私は次の写真のようにWEBカメラを加工しました。

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 WEBカメラの本体を、100円ショップで買ってきたスマホスタンドに括り付け、画面中央に垂らしました。

 これにより、写真のようにカメラと相手の目の位置が接近し、アイコンタクトしながら話せるようになりました。

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 たまに、相手の目がカメラに隠れることがありますが、そのときこそ完全アイコンタクト状態です。とてもいいコミュニケーションが図れます。

 なお、画面共有のときはアイコンタクトが要らないので、邪魔にならないようモニターの端っこに掛けておきます。

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WEBカメラの私のお薦めは、写真の製品です。

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 製品番号の記載がないので探しにくいのですが、アマゾンで「WEBカメラ 画角75°」で検索すると出てきます。価格の割には画質、明るさ、AF、画角など、私の期待値を十分に満たしてくれます。特に画角は、最近は広角が多い中75°と適度な角度で、背景に余分な物が映り込む心配がありません。

 もちろん既にWEBカメラをお持ちで特に不自由を感じていない方は、それを加工すればいいでしょう。加工というほどのことではありませんが、簡単に説明します。

 写真のようにWEBカメラのスタンド部を外します。私のはミニドライバーで簡単に外せました。そして、モールでスマホスタンドに括り付ける、それだけです。

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 ここで冒頭の話しに戻ります。これがどうして記述問題対策に関係があるかということですが、何事も問題意識を持って日本語教育に取り組むことが肝要だと言いたかったのです。

 常に、私だったらどう教えるか、どう対応するか、どちらを選ぶか、といった視点で物事を捉えてください。それを理由立てて書くことができれば、きっと良い点が取れるでしょう。

 それでは模擬問題です。『オンライン授業で、あなたが留意したり心がけたりすることは何ですか。対面授業との比較のうえで答えてください。』 

試験日まで2か月切りました。

 8月も下旬に入り、検定試験の試験日まであと2か月弱。トラック競技で言えば第4コーナーを回って直線コースを全力疾走しようかというところです。

 この時期、当ブログの読者のみなさんは、過去問4年分を4、5巡し、いささかマンネリ(過去問馴れ)に陥っているのではと思います。

 そこで、気分転換を兼ねてそろそろ取り組みたいのが模擬試験です。と言っても、やるのはやはり過去問です。これまでしたことのない年度の過去問を引っ張り出してきてください。

 当ブログがお薦めしてきたのは令和2年度の過去問ですが、既に他の年度と一緒にやってしまったのであれば、別の年度でも構いません。とにかく初顔合わせの過去問にしてください。

 市販の問題集にも模擬試験は出ていますが、情報の精度が違います。必ず凡人社の過去問にしてください。

 さて、模擬試験の仕方です。

 まず、解答用紙をコピーします。次に、写真のように解答枠ごとにタイムリミットをメモ書きします。

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 ここに書く時刻は、本番の持ち時間を配分した時間を書きます。上の写真は、令和2年度の時間割(下)に基づいてタイムリミットを設定しました。

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 したがって、試験Ⅰの解答用紙第2面は次のようになります。

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 試験Ⅰは、問題1、問題2は比較的簡単なので10分、問題3から問題7までは各枠15分、次の枠は20分、最後は見直し時間を含めて30分としました。

 ただ、これはあくまでも目安時間です。残り時間5分なのにまだ20問ある、ということにならないようにするためのものです。ご自分の特性に合わせて設定してください。

 試験Ⅱは音声の流れに沿ってやるだけですから、時間配分は関係ありません。その代わり、以前申し上げた音声表のメモを、解答例の音声が流れているときに書き込んでください。

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 時間管理が重要なのは試験Ⅲです。記述問題があるからです。

 私は、下書きをせず、頭に浮かんだ文章をそのまま原稿に書くタイプなので、問題17(記述)の持ち時間を30分としました。

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 なお、本番のときも、というか本番こそこのようにタイムリミットを書いて時間管理してください。ただし、提出の際は必ず消しゴムで消してくださいね。

 こうして本番さながらの模擬試験を行ったら、浮き出てきた問題について対策を講じます。あと2か月、みなさんの健闘を祈ります。

日本語教育能力検定試験 時事統計問題対策

 前回の投稿から、随分間が空いてしまいました。原因はネタ切れです。私の持っている知識、経験はほとんど出し尽くし、後はみなさんにひたすら過去問や聴解問題対策、記述問題対策に取り組んでいただくしかないからです。

 ただ、そんな中で一つだけネタが残っていました。日本語教育に関する時事統計問題です。

 社会情勢の変化に伴って、日本に在留する外国人や学習者の数、構成も変化します。特に今年の場合はコロナ問題により、旅行者や外国人労働者が例年にない変化を示しています。最新の情報、データをチェックしておく必要があります。

 下の表をご覧ください。

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 これは、私が昨年まとめた各種統計データの一覧表です。上述のように、これを直近のデータに改訂する必要があります。

 そこで、以下に情報の出所を示しますので、みなさんご自分でアクセスして、調査、改訂してください。

 なお、統計データだけでなく、最近話題の公認日本語教師や特定技能制度などに関する情報も示しておきました。ぜひ押さえておいてください。

 

令和2年6月末現在における在留外国人数について/出入国在留管理庁

http://www.moj.go.jp/isa/publications/press/nyuukokukanri04_00018.html

 

新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組/出入国在留管理庁

http://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf

 

令和元年度国内の日本語教育の概要/文化庁

https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/r01/

 

令和元年度 日本語教育機関実態調査/一般財団法人日本語教育振興協会

https://www.nisshinkyo.org/article/pdf/overview05.pdf

 

海外の日本語教育の現状と課題/国際交流基金

http://www.nkg.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/06/20170615_JF.pdf

 

2018年度 海外日本語教育機関調査/国際交流基金

https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/survey18.html

 

平成30年度 外国人児童生徒等教育の現状と課題/文部科学省

https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kuhakuchiiki_kyogikai/h30_hokoku/pdf/r1407951_04.pdf

 

日本語教師の資格の在り方について(報告)/文化審議会国語分科会

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/92083701_01.pdf

 

 最後にプレゼントのご案内です。上に示した各種統計データのエクセル表を、ご希望の方に進呈します。メールで、pooman269@outlook.jp  宛にご請求ください。

 

外国語教授法の検定試験対策

 検定試験には必ず外国語教授法についての問題が出ます。また、教授法に関連した出題も多数あります。記述式問題にも大きく関係しますから、検定試験対策として外国語教授法を押さえておくことは、とても重要です。今日はそのポイントについてお話しします。

1.時系列で把握する。

 外国語教授法はこれまで様々な歴史的変遷を経て現在に至っています。例えば、Aという教授法を批判してB教授法が生まれ、さらにB教授法の欠点を補うべくC教授法が開発されるというように複雑に関係、関連しながら変遷しています。

 したがって、外国語教授法はこの歴史的な流れに沿って理解することがまず重要です。

 そういう意味で、赤本の215ページから223ページはとてもよくまとまっています。また、私の推奨するブログ『毎日のんびり日本語教師』さんでは「外国語教授法の変遷についてまとめ!」として、タイトル通り時系列でまとめられています。ぜひ参照してください。

外国語教授法の変遷についてまとめ! | 毎日のんびり日本語教師

2.グループ分けする。

 外国語教授法は様々な切り口でグループ分けすることができます。検定試験でも、その切り口で出題されることがあります。例えば、「行動主義心理学」や「社会的構成主義」などの学習観の切り口です。

 また、フォーカス・オン・フォームズフォーカス・オン・ミーニングフォーカス・オン・フォームといった分類もあります。

 それぞれの用語について理解することはもちろんですが、そのグループに含まれる教授法、グループの特徴、他のグループとの関係性も押さえておきましょう。

3.各教授法を1分間で解説できるようにする。

 検定試験に出そうな教授法は、区分の大小によって20ほどあります。これらを1分間スピーチでレクチャーできるようにしましょう。

4.エクセルにまとめよう。

 上記1から3までを行うためのツールとして、エクセル表をつくりましょう。エクセルが苦手な方はワードでも、あるいは手書きノートでもいいです。とにかくアウトプットが大事です。目、口、耳、手、あらゆる器官を総動員して記憶化します。

 以下は私が作ったエクセル表です。それぞれの教授法の特徴やグループ毎で把握できるよう作りました。ご希望の方には差し上げてもいいですが、自分で作ることに意味があります。ぜひ参考にしてください。

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 コロナ禍の下、みなさんそれぞれに苦労なさっていると思います。ただその中で、在宅時間が多くなったということは共通しているのではないでしょうか。これをチャンスと捉え、検定試験対策に傾注しましょう。コロナが収束する頃、きっと明るい展望が開けていることでしょう。健闘を祈ります。 

 

過去問勉強法

 当ブログのスケジュールでは、5月から過去問に取り組むことになっていますので、計画通り勉強している人は今頃2巡目に入っているでしょう。

 そこで、この辺りで再度過去問の勉強法を確認したいと思います。なぜなら、これを間違えると検定試験の合否に大きく影響するからです。

 今回取り上げるのは、試験Ⅱと試験Ⅲの記述問題を除いた、選択問題の勉強法です。

1.4年分を5回やる。

 私が推奨するのは、平成28年度から令和元年までの過去問です。これを5月から9月まで毎月1回します。

 出遅れた、まだ過去問やってないという人も大丈夫です。まだまだ十分時間があります。早急にアマゾンやメルカリなどで取り寄せ、チャレンジしてください。

 

2.令和2年度版は模擬試験として10月にやります。

 これで直近5年分を押さえることになりますので、万全です。必ずしも令和2年度版でないといけないということはありませんが、最近の出題傾向を知る意味でも直近の情報は押さえておきたいものです。

3.答えではなく正解・不正解の根拠を押さえる。

 同じ問題を何回も解いていると、答えを覚えてしまうことがあります。ぱっと見ただけで「はい、この答えは選択肢2」というように。

 でも、これはとても危険です。選択肢2を正しいとする根拠があやふやなまま通り過ぎてしまうおそれがあります。少し切り口を変えて選択肢3を正解とする問題を出されたら、間違える可能性が大です。

 答えがすぐに分かっても、なぜ選択肢2が正解で、なぜ他の選択肢が間違いなのかをきちんと言えるようにしておきましょう。

 そのためには、日本語教師養成講座の講師になったつもりで声に出して解説するのが一番です。そしてこのとき、赤本を再び引っ張り出してきて解説原稿を作るのです。また、度々紹介するブログ『今日ものんびり日本語教師』さんを参考にするのもいいでしょう。とにかく、教えることは最大の学びにつながります。

4.記録し、分析する。

 下の写真をご覧ください。平成25年度過去問の第1回目(上)と2回目(下)の私の解答用紙です。

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 まず1回目の上の用紙を見てください。青でマーキングした問題は全問正解の問題です。黄色マークは半分以上間違えた問題です。これにより、自分の得意な問題とそうでない問題が分かります。黄色マークの問題を重点的に勉強します。

 次に下の2回目の用紙を見てください。点数が上がってますが、そんなことはどうでもいいです。

 ピンクでマーキングした問題は2回連続間違えた問題です。黄色は、前回合っていたが今回間違えたという問題です。どちらも、どうして間違えたのか追求します。

 こうして3回目、4回目と過去問を繰り返します。すると、面白いことに?、1回目不正解、2回目正解、3回目不正解といった問題が出てきます。まるでモグラ叩きのように。我ながら苦笑しつつ原因分析します。

 このようにモグラ叩きを繰り返して5回目くらいになると、ようやくどの年度も90%台の正答率になります。

 ここまで来れば一安心です。試験Ⅱや記述問題でよほどのことがない限り、合格間違いなしです。

5.試験時間を守る。

 検定試験の問題冊子の表紙には試験時間が書いてあります。例えば、試験Ⅰは90分です。

 1、2回目はともかく、3回目以降はこの試験時間を守りましょう。なぜなら、試験問題の多くは、時間を掛ければ解ける問題だからです。でも、そうやって得た得点は実力とは言えません。過去問も、本試験と同じ試験時間で解きましょう。

6.他の問題集には目もくれない。

 実は、私は過去問集のほかに赤本の問題集やア〇ク社の合格問題集を持っていました。しかし、結局どちらも1ページも開くことなく検定試験を迎えました。そして、今頃はどこかの BOOKOFF の棚に鎮座していることでしょう。いや、誰かが買っていったかもしれません。

 処分した問題集を買った人には申し訳ないですが、私にとっては正解だったと思います。どちらもかなりのボリュームがあり、もし手を付けていたら勉強時間を相当圧迫し、混乱や不安を増長させるだけだったと思います。

 悪いことは言いません。問題集は過去問だけにしましょう。なお、赤本内の確認問題は、その名の通り確認の意味で、本番直前にやるのもいいと思います。

 

令和元年度過去問、試験Ⅰ問題1・2の対策

 検定試験の試験Ⅰ、問題1・2シリーズの最後です。令和元年度の過去問について記します。

問題1

(1)【円唇性】

 もうこの種の問題は、みなさんは秒で答えられると思います。これまでに何回もお見せした、問題用紙に書いた私のメモを再掲します。下の母音の図です。

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これの基になった図です。エクセルで作りました。

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 そうです。円唇は「オ」です。したがって答えは5です。

(2)【撥音の音声】

 これは少し難しい。一見、撥音についてのちゃんとした知識がないと解けないように思えます。でも、諦めるのはちょっと早いです。

 選択肢はどれも「かん・・」と読みます。したがって、撥音「ん」の後続音によって「ん」の音声が異なると推測できます。

 ここで私は、またしても先ほどの音声メモを思い起こしました。

 

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 上の子音のメモを見てください。タ行のうち「チ」だけが歯茎硬口蓋音で、他は歯茎音です。したがって答えは「完治」の3と推測しました。正解でした。

 いかがですか。手前味噌のようですが、この音声メモ、随分役に立つでしょう。試験Ⅱはもちろん、この試験Ⅰ問題1でも活用してください。

 ただ、今回は私の無手勝流で解くことができましたが、撥音の音声は結構奥が深いです。赤本第5版の484ページで、後続音がない場合や鼻母音となる場合を確認しておいてください。因みに、鼻母音の場合を私は「朝は早(い)=アサワハヤ(イ)」と覚えました。

(3)【拍数の変化】

 拍数の数え方を知っていれば、簡単に解けます。本来、「火」は「か」の1拍ですが、「月火水」と読むときは「げつかーすい」と2拍になります。他の選択肢は、2拍のまま変わりません。したがって答えは1です。

 この辺りは、毎々紹介するブログ『毎日のんびり日本語教師』さんが詳しく解説してくれてますので、ぜひ閲覧してください。

(4)【読み方のバリエーション】

 「9人」だけが「きゅうにん」「くにん」の読み方があります。他は一つの読み方しかありません。

(5)【語構成】

 「耳当て-耳に当てる」「下敷き-下に敷く」「膝掛け-膝に掛ける」「前書き-前に書く」ですが、「台拭き」は「台を拭く」です。

(6)【転成名詞の意味】

 これも「かばん持ち-かばんを持っている」「所帯持ち-所帯を持っている」と言い換えることができますが、4の「心持ち」は「心を持っている」とすると別の意味になってしまいます。

(7)【デ格の意味】

 1の「で」は原因・理由の「で」ですが、それ以外は手段の「で」です。

(8)【補助動詞

 2の「持ってかえる」の「かえる」は「帰る」の意味ですが、「座ってみる」の「みる」には「見る」という意味がありません。他も同様です。

(9)【指定文と措定文】

 指定文措定文。私は意味がわかりませんでしたので、無手勝流を使うことにしました。

 大体の言葉のイメージから、はっきり特定できるのが指定文、そうでないのが措定文と目星をつけ、現場にいなくてもわかる文とそうでない文とに選別しました。

 すると、5の「院長はあの人だ」は現場にいないとわかりません。

 結果は、5で正解でした。が、実はこれは全くのまぐれ当たりで、答への道筋も完全に外れていました。

 赤本の分野別用語集によると、指定文は「A=B」、措定文は「A<B」の文です。つまり、「私の先生は男の人だ」は「男の人は私の先生だ」とはならないので措定文です。なるのは「院長はあの人だ」だけです。

 なお、私が選別基準とした現場云々の定義は、ダイクシスのことでした。ウナギ文と合わせて確認しておいてください。

(10)【直接受身文における動作主の表示形式】

 【  】には難しいことが書いてありますが、4だけ被害者意識の混じった受身文です。いわゆる「迷惑の受身」です。

(11)【述語が表す出来事とニ格の関係】

 これも【  】の意味がよくわかりません。が、1から4までは述語の行為がどれも週末に行われたと解釈できます。

 それに対して5の「週末にレストランを予約した。」の週末は、予約行為をした日ではなくレストランを利用する日と考えられます。

(12)【「の」の用法】

 これはぱっと見でわかりますね。2だけが「本が好きな子ども」とか「本を好きな子ども」と言い換えられるのに対して、他はできません。

(13)【「のだ(んだ)」の用法】

 3以外は下線部を疑問形にしても文として成立します。例えば、1の「あれ、雨が降っているんだ。」は「あれ、雨が降っているのか。」でも全然おかしくありません。  

 しかし、3は文になりません。

(14)【「ところ」の用法】

 1以外は「ところ」を「ときに」とか「ころに」に置き換えられますが、1はできません。

(15)【「れる・られる」の用法】

 4だけ受身の「れる・られる」です。他は、自発の「れる・られる」です。

 と書いたところで『毎日のんびり日本語教師』さんの過去問解説を覗いたら、4は可能形となっていました。

 どっちなんでしょうね。こういうとき、いわゆる「ら抜き言葉」は便利ですね。「高めれる」となっていたら迷わず可能形ですから。

 

問題2

(1)

 ローマ字で書くと、すぐ答えが見つかります。誤用例は「syouto⇒siyouto」と「i」が入る誤用です。1、2、4は同じ誤用です。

 これに対して3は「kyositu⇒kyousitu」と「u」が入る誤用です。

(2)

 誤用例と選択肢の1から3は、アクセントの誤用です。選択肢4はアクセントではなく「りょこう」が「りょうこ」となった誤用です。

(3)

 「〇〇した」を「〇〇された」とした誤用です。しかし3は「誤りを」を「誤りが」とした誤用です。

(4)

 誤用例は「それで」とか「そのため」を「そこで」とした誤用です。しかし1は「そこに」を「そこで」とした誤用です。

(5)

 誤用例は「・・ておく」の文型を用いるべき誤用です。これに対して選択肢4は「梅雨に入るまでに」と「に」を入れるべき誤用です。

 

 今回も日本語教育の専門知識を要する問題は、音声関連を除けば問題1(9)の【指定文と措定文】の問題だけでした。音声関連の問題にしても、pooman式の裏技で十分解ける問題です。

 つまり、試験Ⅰの問題1・2は特別な勉強を要せず、かつ高得点が得られる問題です。最低でも9割9分(9分以内に解いて9割以上の正答率)を目指しましょう。

 

 

 

 

平成30年度過去問、試験Ⅰ問題1、問題2の対策

 前回の結論で「試験Ⅰの問題1と2は、特別な勉強を要しません。その分、他の分野に傾注しましょう。」と言いましたが、今回も問題1、2の対策です。

 なぜなら、特別な知識はそれほど要しませんが、ここは早くスルーする必要があるからです。少しでも早く処理し、後の問題に使える時間を捻出しなければいけません。

 そのためには勘とひらめきを養う、つまり脳トレが必要なのです。

 では、早速始めましょう。

問題1

(1)【二重調音】

 いきなり難問です。赤本にも用語集にも二重調音という用語は出てきません。私は、4を答えとしました。調音するのは子音だけで母音はしないので、母音の[w]が答えだと思ったのです。

 結果は正解でしたが、プロセスは全然間違っていました。そもそも[w]は母音ではなく子音でした。母音の「ウ」の音声記号は [ɯ]でした。

 詳しくは、ブログ「毎日のんびり日本語教師」さんの下記サイトをご覧ください。

母音、子音とIPA(国際音声記号)について - 日本語教育能力検定試験対策|毎日のんびり日本語教師

 すばらしい解説が載っています。これによると、二重調音は[w]だけのようです。

(2)【二重母音の取り入れ方】

 これは比較的簡単でした。ゲーム(geimu)、セールス(seirusu)、メール(meiru)のように、子音にくっついて母音が続くのを二重母音と言うようですが、それぞれの子音は「エ」とか「イ」と発音されることはありません。しかし、レインブーツの「イ」は独立して発音されます。したがって、答えは5です。

(3)【音節数】

 音節の知識があれば簡単です。2の「教育」だけが3音節で、他は2音節です。分からなかった方は、赤本第5版の472ページで確認してください。その際。拍数と音節数の比較も併せて理解しておきましょう。

(4)【アクセント】

 これも、読んでみれば何となく分かるのではないでしょうか。「一喜一憂」だけ、他とは違いますよね。

(5)【短縮語形成】

 「スタメン⇒スターティング・メンバー」「アカハラアカデミック・ハラスメント」「エアロビ⇒エアロビクス」・・・もう分かりましたね。3が答えです。

(6)【転訛形】

 転訛形の意味が分からなくても、「やめとく⇒やめておく」「なにしてんの⇒なにしているの」「帰らなきゃ⇒帰らなくては」「やっちゃいなよ⇒やってしまいなよ」となりますが、「やばい」は何ともなりません。

(7)【漢字の読みとつくり】

 選択肢の1から4は、つくりの読みがそのまま漢字の読みになっています。でも、5の「計」の「十」は何と読むのでしょうか。

(8)【熟字訓】

 熟字訓とは当て字のことでしょうか。先に「あずき」という言葉があって、それに「小豆」を当てたようです。通常の漢字の読みでは読めない読みです。

 ですから、答えは、普通に読める「子供」です。

(9)【テ形の音便化】

 音便化しないのは「話す⇒話して」だけです。

(10)【イ形容詞の作り方】

 これは、秒で答えられますね。「黄」だけが「黄色い」となって他は「〇い」です。

(11)【「こと」の用法】

 これも10秒かかりません。「~ことだ」を「~ように」と言い換えれば一発です。

(12)【「~直す」の用法】

 同じく10秒コースです。下線部の前に「もう一度」を置きます。違和感があるのは何番ですか。そうです、2番です。

(13)【比喩】

 選択肢の2は漱石の小説、3は洗濯機のドラム、4は黒板の字、5は永田町の政治家たち。では1は?

(14)【応答詞の用法】

 4以外は指示命令や依頼に対する応答、4だけが確認に対する応答。

(15)【結果の評価】

 3だけがいい評価で、他は結果を悔やんでます。

 問題1は(3)までは多少時間や知識を必要としますが、後は楽勝ですね。この調子で問題2もいきましょう。

 

問題2

(1)

 ローマ字で書くと分かります。誤用例と選択肢2、3、4の誤用は、余分な音が入った誤用です。それに対して1は「hima⇒ima」と、音が抜ける誤用です。

(2)

 誤用例は「食べよう」が「食べろう」となった誤用です。ですから、逆にすれば分かります。「出来ろう」は「出来よう」になりません。

(3)

 誤用例は「という」が要らない誤用です。でも、選択肢2は「という」を取ると文になりません。

(4)

 誤用例は「およそ」を使うべき誤用ですが、3は「およそ忘れてしまう」となり、違う誤用です。

(5)

 誤用例は「行く前に」とすべき誤用です。しかし2は、「収まる前に」ではなく「収まるまで」とすべき誤用です。

 

 問題2は、どんな誤用か分かればとても早く解けます。いろいろ言い換えたり取ったり入れたりしてみましょう。